「てるみくらぶ」倒産から知る「計画倒産」について
格安旅行会社の「てるみくらぶ」が3月27日から破産手続きに入りました。
負債額は約151億円にも上ると言い、顧客への返金は望み薄な状況だということです……。
このような中でささやかれるのが、「てるみくらぶ計画倒産説」。
倒産に計画も何もあるのか?!
今回はてるみくらぶを通じて、計画倒産のなんたるかを見ていきましょう!
【計画倒産って何? 詐欺ではないの?】
「計画倒産」とは、その名の通り企業を計画的に倒産をさせることを言います。
初めから倒産狙いで起業する明らかな詐欺も、計画倒産に含まれます。
が、たいてい「計画倒産」という場合には、資金繰りの悪化が原因で自転車操業となり、近いうちに倒産のXデーが来ることを予見しながらも顧客から代金を集めることを言います。
これでは詐欺とは言わないまでも、顧客に対して不誠実な態度だと言われてしまいますよね。
今回のてるみくらぶのケースでも、この点が批判の対象となっているんです。
【てるみくらぶはなぜ現金が欲しかったのか?】
てるみくらぶはギリギリまでツアー広告を打ち、集客を行っていました。
しかも「現金一括払いのみのため激安!」という触れ込みのツアーが大きく宣伝されていました。
一朝一夕で企業が傾くことはまずないのに、倒産手続きに入る直前まで普段と変わらないように営業していた……。
ツアー旅行が行えない状況であったのに、素知らぬ顔で顧客に高額な振込をさせていた……。
てるみくらぶ側が現金を欲しがっていたことは明らかですね。
どうしてここまで現金を集めたのか、が気になるところでしょう。
倒産と無縁に暮らしている人たちにとっては意外と盲点なのですが、倒産するにもお金がかかります。
その多くは裁判所に納める手続きのためのお金と、弁護士費用。
手続きができなければそもそも破産もできませんし、倒産関係に強い弁護士への報酬もそれなりに高額ですので、てるみくらぶは来る倒産のためにこれらの費用集めに必死だったのではないでしょうか。
さらに、計画倒産を目指す過程では、会社の資金を個人の名義に変えるということもたびたび行われます。株式会社の多くは有限責任であり、つまりは役員の個人資産は処分の対象にはならないからです(厳密に言えば、例外もないことはないですが)。
「顧客の返金のために社長が金を払え!」という理論は、法的には通らないことになっています、残念ながら……。
【てるみくらぶは意図的に倒産したのか? それとも】
が、仮に計画倒産ではなくても、企業の資金繰りが悪化している状況では「まずは債権の処理から行う」のは基本です。現金の入金があれば、支払期日の迫っているお金から返していくことはごく自然なことなのです。
「計画倒産にかかる費用を見越して、現金を集めていたのか」
それとも
「支払期日に間に合わせるために、躍起になっていたところ、ぱったりと自転車操業が立ち行かなくなったのか」
果たして今回の場合は、どちらの色合いが強いのでしょうか?
てるみくらぶが意図的な計画倒産に当たるかどうかは、この点を明らかにしなくてはなりません。しかし計画倒産であった証拠を明示するのは難しそうです。
てるみくらぶの利用者への負債は99億円とも言われています。
しかし、返金可能額はそのうちわずか1億2000万円ほどと言われ、およそ1%ほど……。
どのような形で決着がつくのか、それともつかないのか?
てるみくらぶは逃げ切るのか、詐欺的な側面が浮上して法的にしょっぴかれるのか?
今後も注目していきたいですね。